- 2007-05-01 (火)
- Category: 物見遊山
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前に一度見ているのだけど、そのときはNIRSとか学習するロボットとか見れなかったから、懲りずにしつこく行ってきたよ。GW合間の平日で、しかも雨、しかも開館直後というコンディションのせいか、人があまりいなくて好き放題見れたよ。前に一度チラッと触れたけど、せっかくなので書いとくわ。ちなみに写真はない。撮影禁止だ。
第1部:わたしの脳がたどってきた道
無脊椎動物からほ乳類、ヒトまで、約150点の脳神経標本を展示します。
このエリアはひたすら脳が並んでいる。つっても、人間の脳だけじゃなくて、めちゃめちゃ原始的な動物の脳も並んでいる。脊椎動物の元祖であるお魚さんに始まり、両生類、爬虫類、鳥類、霊長類まで何でもござれ。よー集めたなあ。
身体のでっかい動物の脳は、大きい。しかし脳が高度な働きをするためには、身体に対する比率が問題になる。なので、ただ脳が大きくてもダメ。身体に対する比率が小さかったら意味がないのだ。さらに、身体に対する脳の大きさの比率が同じであれば、脳全体の大きさに対する大脳の大きさが問題になるらしい。犬とか狼の脳のサイズは、実は猿の脳のサイズとあまり変わらない。だけど猿の方が高度だと言われるのは、猿の脳の大脳の比率が大きいから、らしい。生物系は弱いのでタメになった。うろ覚えだから嘘をかいてたらごめんよ。
個人的にはもうちょっと展示の仕方を工夫して欲しいとも思ったが。だって、動物の名前は書いてあるけど、その動物が進化の系統の中で、どこにいるのか分からない。同じ猿の仲間であっても、古い猿と新しい猿がいるじゃないか!このへん、はっきり書いてくれないと、素人にはわかんないよ。しかも微妙にレアな動物が出てくるし。なんかの仲間だということは分かっても、進化の系統でどのへんにいるのか分からなかったりさ。あと、動物の体長や体重が書いてないのもマズーだろう。イメージが全然わかないやん。監修に、動物分類学者なんかは絡んでいないのかな。個人的には進化の系統図と、体重に対する脳重量 (%) と、脳重量に対する脳の部位 (%) があれば完璧だと思った。
あ、脊椎動物だけじゃなくて、軟体動物とか昆虫とかもいたよ。神経系統が、脊椎を中心として樹状になってるんじゃなくて、なんかそこいらじゅうから枝分かれして、放射状になってた。ヒトデなんかそのまんまヒトデの形だったよ。
第2部:わたしの脳がつくる世界
視覚や言語、運動などを司る脳の機能に関する映像や体験装置を展示します。
脳と感覚や認識に関するエリア。錯覚遊びもここで楽しめる。実際にある世界と、感じている世界はちょっと違うというお話。私が見ているこの世界は、実際にある世界を、脳というブラックボックスを通して得られた結果だ。あー、なんか皮肉ねと思うわけよ。どれだけ真実に迫ろうと頑張っても、脳がある限り真の真実には迫れないのよ。それでいて、脳がなかったら、真実に迫ること自体がでいないというパラドックス。
錯覚遊びコーナーには、いったいどこからこんなに集めた!というくらい色々あったよ。個人的には、錯覚で遊ぶなら視覚が一番楽しい。綺麗に彩色されたものが多いからねえ。逆に、身体そのものを傾けてしまうようなヤツはだめだ (コレはなかったけど)。それが長時間持続してしまって、なんか色々おかしなことになる。
脳の部位に対しての、身体機能のコーナーは、興味深かったけど、同時にどこか悲くもあった。脳の特定部位に対して、特定の身体機能が対応していることを確認するには、つまりその部位が欠損しているサンプルが必要になるということだ。そういう人や動物がいて初めて、そのことが明らかになる。悲しいよね。感傷的になっちゃったけど、我々の身体感覚や機能には、単純にセンサーやパーツとして働く部位と、それを統合してコントロールする部位がある。どっちが壊れてもあかん。統合してコントロールするっていう概念が面白かったな。
例として、欠損した視覚の例がいろいろあった。見えるけど色が見えないとか、見えるけど明るさが判らないとか、見えるけど動きが見えないとか、見えるけど止まったものが見えないとか、見えるけど見た結果をパターン化して判断することができないとか、なんかそんな感じで、例がいろいろ出ていた。すごく興味深かった。いずれにしろ、大変なことだと思ったけどね。私から視覚を取り上げたら、私は多分生きることに絶望するような気がする。
NIRS実演
NIRSとは……脳の血流を測定することで、脳の活動部位を明らかにする装置。このNIRSという装置の名前のNIRという部分、これは化学屋さんも測定装置として使っている、NIR (Near InfraRed) の略だ。すなわち近赤外!
近赤外を用いた分析は、実は品質管理の分野でも注目されているー。非破壊的で、装置が小さい。放射線被曝なんかもない。表面にプローブをちょっとつけるだけで、中身の測定が出来る。袋に入ってても大丈夫。というのも、近赤外線はよく透過するかららしい (実はこのときまではっきりと知らなんだ<ヲイ)。
得られるのがスペクトルだから、定量にはあんまり向かないと思うが、定性的な分析には十分だ。んで、NIRSは、脳表面の血流が多いか少ないか (対応するシグナルが強いか弱いか) で活性部位を特定するらしいよ!
スタッフさんが計算問題をぶわーっと解くと、一気に血流量がアップ、計算をやめたら血流が一気に弱くなる。ナンボ敏感やねん、と思ったのであった。
個人的にはあれで頭の後ろのむずむずと血流量の対応を取ってほしい、と思ったのであった。脳表面の血流量と触覚が対応してたらそれはそれでおもしろくない?
第3部:変化するわたしの脳
発達、学習、病気などにより変化する脳に関する映像や脳測定装置を展示します。
ここでは、脳が発達していく様子と、逆に障害されていく様子を紹介していた。発達よりは障害の方が多かったような気がする。展示内容がヘビーだからそう思っただけなのかもしらんけどさ。
脳が関連する病気が幾つか例示されていて、内容は精神科領域のものと、神経内科領域のものがメイン。前者は統合失調症、うつ病など。後者はパーキンソン病、アルツハイマー性痴呆症、など。なんていうかヘビーだったわ。あんまり考えたくないかな。考えたくなくてももしかしたら自分もそういう病気になる可能性はあるわけだし、最低限、知識を持つことは必要なのだけどね。
環境によって脳のかたちが変わる?
これはかなり衝撃的なのだけど、幼少期に虐待を受けた子どもの脳を調べると、その多くに海馬や扁桃体の萎縮が見られたそうだ。海馬は記憶を、扁桃体は情動を司るといわれているので、虐待を受けた子どもの不安定さや危うさは、単に精神的な面だけじゃなくて、器質的な面からも影響された結果である可能性がある。
この因果関係が立証されたとしたら、「魂の殺人」という言葉だけで済まされる問題じゃなくなりそう。脳の一部の形が変わるということだから、虐待は「後遺症を及ぼす程の酷い傷害」であるということになる。
が、まだ完全に因果が証明されたわけではなさそう。
学習するロボットの実演
ところで、ここには、自力で学習するロボットの実演があったよ。ロボットの学習システムは、人間の小脳の学習システムをモデルにしているそうだ。
ロボットといっても簡単なもので、人間の脚のような構造をしている。太股+膝+ふくらはぎ+足の部分を想像して下さい。このロボットの目的は、立つということなんだけど、なんとロボットには立ち方がプログラムされていない。ロボットは、目的を果たせるようになるまで、えんえんと試行を繰り返す。上手に立てたらご褒美シグナルが、転んだら罰シグナルがロボットに与えられる。ロボットがご褒美シグナルをもらえる動きを選択的に学習して洗練させていくというストーリー。
といっても、ゼロの段階から課題をクリアできるまでずっと見守っているのは時間がかかるので、まったく学習していない段階から、半分くらいまで進んだ段階、課題を完璧に遂行できる段階、それぞれのデータを空っぽのロボットに入れて、それぞれの段階を見せてもらった。
ゼロの時は、まじでじたばたしているだけ。なんていうか、地面に寝かされたまま振動しているようにしか見えなかった。学習が半分まで進むと、よっこらしょっと立ち上がろうとして勢いがつきすぎたり、逆に勢いがなさすぎて途中で力尽きたりしていた。そして最終段階では、全く危なげなくすっと立っていた。赤ちゃんが立つのを見るような感じで、すこし感動した。
公式サイト:http://www.brain-ex.com/
本文中の引用部は全て公式サイトより。
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