- 2007-05-28 (月)
- Category: 時事語り
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最近朝マックをよく利用する。マクドナルドがトレイに敷いてくれる紙には、大々的にマクドナルドのビーフパテの安全性がアピールされてる。知ってた? ちょこっと目に留まったので、そのへんについてちょろりとね。
マクドナルドのアピールポイント
マクドナルドがトレイに敷いてくれる紙に書いてある、ビーフパテの安全性アピールの内容はこんな感じ。
- 牛にイヤータグをつけて識別している
- パテは50年前から変わらずビーフ100%
- パテを輸送する車の温度を記録、管理している
- パテを焼くときの温度を測定して管理している
イヤータグの見出しに、No.5 と書いてあったので、どうやらこの前にも No.1〜No.4 があるらしいけど、紙の現物を見たことがないので内容は知らない。
牛のイヤータグは、BSE/TSE1 の関連があるからだろな。そうでなくても最近、農薬や有機栽培などの関係で、農産物のトレーサビリティが大声で叫ばれてたりするわけで。この中で、大変だなぁと思ったのが輸送車の温度管理。少しでも設定温度範囲から外れたら全量廃棄だそうで。
うちは食品じゃないけど、必要に応じて輸送、保管時の温度管理はやる。設定温度範囲から外れたときを想定して化合物の安定性試験をやってるので、即全量廃棄ということにはならないだろう。設定温度から外れても、製品の品質に影響がないことが確認されれば問題ないはず。んで、保管時の温度は多少外れても品質には影響しないように設定するはず。まぁ、正確なところは、化合物の保管や輸送を運用してるところに聞かないと分からないんだけどねえ。
つくづく、食品は厳しいなぁ…と思うのであった。ねぇMiraさん。<突然話をふる
最近本当に消費者の目が厳しい
品質に関するお仕事をしているから、余計にそういうのに目が行くのだろうけど、いや、マジで、最近本当に消費者とお役所の目が厳しいと思うます。お役所があーだこーだと規則を作るのは時代の求めなので仕方ないのだけど、実際に運用する側としてはなかなか大変。
たまーに、なんでそこまで管理する必要があるんだ、なんか無駄に難しくしてないか?と思う事例もちらほらある。また、管理範囲を設定するには裏付けデータが必要になるので、データをとる方も大変なのですよ。もー勘弁して。
ところで、私が入社して、この部署で今の仕事に関わる前の記録を洗いざらい確認することがときたま発生する。そうとう昔 (10年前とか)、今よりルールが整備されていない時代の記録を見ると、たまに絶句する。今現在の視点から見ると、データが抜けてたりとか。それでも実務者の経験上、大丈夫と判断できる範囲でやってたので、問題になることはなかった。2
最近は何でもかんでも「大丈夫と判断できる根拠データは?」と言われるのでツライ。実験をやってるときの感じ、大丈夫だと思ったでは通じない。それをデータ化せねばあかんのである。おおらかな性善説の時代がうらやましい。データ取ったら実際大丈夫なのにー。くぅぅぅぅ。証拠がないと、何をいくら言い張ったところで負けるのである。
ある意味で企業の自業自得
まぁしかし、重大な健康被害があっては困るという消費者の気持ちは分かる。私も仕事を離れれば一介の消費者に過ぎないし、昨今、安全性関係で、いろいろ事件が起こってるしね。
少し前に大騒ぎになったのでは、ペコちゃん家。あれは安全性云々よりも、企業の姿勢の問題だと思うけど。一度ルールを破ると、どこまでも破っていくといういい例だね。
そういえば耐震強度の偽装事件というのがあったな。あれ、その後どうなったんだろ。
それからやっぱりBSE/TSE問題は、インパクトが大きかった。その割には、未だに肉を食べているのだが。今までに摂取してしまった分はどうしようもないし、全頭検査がきっちりやってあることを祈るのみ。リスクがあるのを知っていても肉は食うのだ。
もっと前で、こりゃないだろと思ったのは、非加熱製剤ね。ミドリ十字のやつ。あれは有り得ない。酷い。利益のための人体実験そのもの。微妙だと思った時点でいったんストップして、問題が生じないように裏を取るのが実務者の良心だと思うし、たいていの実務者はそうなんじゃないの?と思う。
んで、最近の話をするとね。
インフルエンザの特効薬、タミフルで未成年者の異常行動が引き起こされるというのがあったね。上市段階で、未成年者についてまともな副作用データがなかったのは仕方ない面もあると思うんよね。安全性に関する最初の治験 (Phase I) は健康な成年男女で行うから。効果に関する方の治験に子供が含まれているかどうかは、情報を見てないので知らない。ただ、上市後に現場から副作用情報が上がってきたのになにもしなかったのは拙い。
タミフルのちょっと後に、短期作用型の睡眠薬で異常行動が引き起こされるというニュースがあった。これは後に、FDA3 が《アメリカ国内で販売されているすべての睡眠薬でその可能性がある》と言ったとかなんとか。日本で該当するのはマイスリーとハルシオン。この副作用は私も経験している。夜中におかしなことをしたっぽい。幸い、早めに医者に報告して薬を変えてもらったから、危ないことにはならなかったけど、上市されてからかなり経つのに、それまで何やってたの?という例。
その前だったか後だったか、睡眠薬ハルシオンで、製剤の溶出性試験が、承認時に報告されたデータと違ったのが理由で、自主回収になってたね。けっこう最近だったと思うけど。ファイザー乙。
ざっと思いつくだけでもこれだけあるし、自分自身も含めて消費者が警戒する気持ちは良く分かる4 。これって、いい加減にやってきた企業の自業自得なのよね。自分で自分の首を絞めてる。決まりがなくともきっちりやっていたら、きっと今ほど厳しくない。
これは勝手な予想だけど、今後、お役所の決めるルールはもっと厳しくなるだろうし、企業の自己防衛や同業他社との差別化のために、現場に課せられるルールもますます増えていくと思うのよ。結果として、時間もコストもますます増える。それって企業の利益とか、社員の福利厚生とか、もちろん株主への配当にも影響してくる。
正直、とばっちりはかんべんしてというのが現場にいる私の意見。皆が皆、正直にやってたらこんなことにはならん。そしていい加減にやってる一部のせいで、真面目にやってる人までダメだと思われるのはいたたまれないよねぇ。おら今の仕事どっちかというと苦痛だけど、それでも真面目にやろうとは思ってるし。
ちなみに最近で一番酷いと思ったのは中国製医薬品。
ちょっと最近あまりに怖いので項を分けて書いてみた。
最近中国がらみの事件、多くないか?中国産の食品がアレだと言うのは、以前から言われていることだけども。ダイエットサプリメントから未承認の医薬品成分が出てくるわ、中国産原料を使った風邪シロップで子供が大量に死ぬわ…。前者は確信犯だと思うのでおいといて、後者。どうやったらグリセリンとエチレングリコールをまちがえるのだろう。確かに性状は似ている。無色蜂蜜状と無色油状。けど普通に原料検査をやったら、なにかの項目で引っかかるだろう。毒性があるのは分かってるはずだから、ラベルに何か書いてないのけ? 風邪シロップの製品試験はやってないのか?そこはてけとーにやっちゃあかん部分だ。検査を確実にやることと、ラベル表示は品質管理の基本だ。その辺がてけとーになってる時点で信用できない感が満載。
というわけで、自己防衛のために中国産は警戒することに決めました。野菜なども国産を買うことにします。急性毒性だけは勘弁して欲しいと思うのであります。だって苦しいの嫌だもん。
Footnotes
- BSE/TSE:BSEはBovie Spongiform Encephalopathy (牛海綿状脳症) の略。早い話が狂牛病。TSEはTransmissible Spongiform Encephalopathy (伝染性海綿状脳症) の略。牛以外の動物における、狂牛病的な症状を呈する病気の総称。原因は異常プリオン。食品も含め、哺乳類の体内に入るものを作っている会社とか、バイオ系の製品を扱っている会社はあれからいろいろ大変だろうなぁ…と思ったりする。 Back
- 数値データは判断基準として第一優先事項。しかし実務者が対象に接したときの「感じ」は、実務を遂行する上でのファクターとして重要。実務者が「こりゃあかんわ」と思ったときはたいていダメ。このへんうまいことデータ化できないかな。 Back
- アメリカの食品と医薬品の
えろいえらい人 Back - 警戒する気持ちは良く分かる。が、行き過ぎた警戒はどうかと思うのも事実だ。事前に予測可能であり、管理していれば防げた問題と、事前に予測困難であり、管理のしようがなかった問題があるので。前者はどんどん責任追及されるべきだったけど、後者はちょっと同情するなぁ…。 Back
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