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加害者という自覚

できれば書きたくなかったけども、書かないと卑怯な気がしたので、書くことにした。誰に対して卑怯なのか?と言えば、自分自身に対して、それだけだ。書くことで自分が許されるとは思っていない。ただなー、回復ということを余すことなく書くためには、避けては通れないので書くことにした。

私は被害者であると同時に加害者でもある。

虐待の連鎖を知っていますか

虐待の連鎖……最近よく聞く言葉だから、そっちの方面にアンテナを張っている人は知っていると思う。この言葉は児童虐待についてよく使われる言葉だけど、いじめやその他においても、被害者は、容易に加害者に転ずることがある。私のケースがこれ。

前に書いたエントリの中では、しっかり触れることができなかった。それを書いた当時、私は自分が加害者でもあることを、しっかり見つめることができていなかったのだと思う。

過食やリストカット、さらなる弱者へのいじめ等の問題行動代替行為に走る
Spherical-moss.net – いじめ被害者の特徴

なんつーか、代替行為などという非常に甘っちょろい言葉を使ってごまかそうとしているのがありありと分かるね。ここは代替行為よりも、問題行動の方が適切だと思う。というわけで元エントリも併せて修正入れました。

ちなみに元エントリのタイトルは、とっつきやすいように、同時に自分が書きやすいように「いじめ被害者の特徴」としてあるけど、書いたときはいじめに留まらず、一般的な虐待1 を想定して書きました。2

問題行動は、主にその時受けているストレスを表現・発散するために行われるのだけど、この中に他者に対する衝動的な攻撃性がある。私の場合もそれは存在した。その攻撃性は、自分に対して無害な人間に対して発揮される。

 無害な人間の例:
  自分より力の弱い人間
  友好関係にある人間 (友人・保護者など)

さらに酷いことに、長期的な被害にあった経験を持つ人間は、相手をより効率的に無力化できる方法を学習している。皮肉なことに、被害者は同時に最強の加害者にもなりうる。

加害することを選択した責任

さて、私は自分が加害したことを「しかたがなかった」と言うことができるだろうか。答えはもちろん「できない」。

どんな状況下におかれていても、状況を言い訳して加害を連鎖させることは、絶対にしてはいけないし、私はその時、他人に危害を加えないという選択を、自己の責任においてすることができたはずだから、である。実際はできなかったから、今、自分自身の加害責任と向き合うことになっているのであるが。

治療の過程を振り返る

ここで、治療の過程を振り返ってみる。

治療の初期段階では、自分が被害者であることも加害者であることも認識しておらず、ただただ自分の状態がしんどかった。やがて、状態が落ちついてくるにつれ、自分が遭った被害を振り返り、怒ったり悲しんだりできるようになった。自己を肯定し、自分で自分をお世話できるようになってきた。つまり自己を律することを覚えた。そして、自分のすべての行動は自由であるし、同時に責任が生じることを理解した。

その上で自分の過去の行動を振り返ったとき、過去の出来事には二種類あることに気付いた。自分が巻き込まれた出来事と、自分が引き起こした出来事。前者は避けることができなかったが、後者は自分の選択で避けることができた。前者には被害にあった経験が含まれ、後者には自分が他人を加害した経験が含まれる。

「苦しかったからしかたない」「自分は悪くなかった」治療の初期には、この言い訳で自分を納得させ、精神の平穏を保つことが求められた。しかし最近になって、自己を律することを覚えた時点で、強制的に自分の加害責任と向き合わざるを得なくなった。

今の私は「苦しかったからしかたない」とか、もうあまりに空々しくて言えんわ。どれだけ言い訳しても、自分のその時の問題行動によって、迷惑を被ったり、傷つけられた人間がいるという事実は変わらないのでね。

加害した事実は一番高い峠だと思う

だけど正直、まだ自分が加害者になったときの具体的な内容を、師匠に語れないでいる。まとまった時間を取って語る機会が、まだ訪れていないのもある。ただ、トラウマの総ざらいをするというはなしが出たときに、自分には加害の経験があるということだけは話した。その時まで、私は加害の経験を一度も話したことがなかった。

理由は、自分が悪いということを認めたくなかったからだ。被害にあったこと、辛いと感じていることだけを話していれば、いつまでも可哀想な子でいられる。一方で加害の経験を話してしまえば、立場は一変する。加害者というのは、理由はなんであれ、一方的に責められ、叩かれても言い訳できない立場だ。選択の自由があったうえで、「加害すること」を選択したのは自身だからね。

さらに困ったことに、自分自身が被害者だから、被害者の気持ちや、その後起こるかもしれない困難は、誰よりも分かっている。なのに他人を傷つけた。自分と同じように、困難な立場に置かれる人間を、自分の手で増やしてしまった。しかも、相手は何も悪くなかったのに、だ。

この問題、どこかで折り合いをつけなくてはいけないのだが、いまだに上手に折り合いをつけられないでいる。なんていうか両方分かるから余計に割り切れねえ。自分の加害責任に気付いたって、今更どうしようもないじゃん。何年経っても被害はなかったことになんてならないんだから。事実なんだから。今からその人たちに謝罪して、出来ることをして、受けた恩を必死で返しても、やっぱりなかったことになんてならないんだから。

あまりに割り切れないから自分を許せなくて、診察室でたくさん泣いたしたくさん怒った。で、分かっているくせに師匠に聞いたのよ。

「どうするのが最善?」

そしたら、ヤツはあっさり言いやがった。

「自分のしたことを受け入れて生きていきなさい」

聞く前から回答は分かりきっていたけど、それを聞いてめちゃくちゃ泣いたわ。泣いたからもういい。ちゃんと受け入れるって決めた。

加害者であることに自覚的に生きる

私は被害者であるし、同時に加害者でもある。だから自分の意思において、これ以上加害を繰り返してはいけないし、責任を取っていかなきゃなんないんだよ。だから、この事実を書かないことがなんか卑怯だと思ったのさね。「責任を取る」の具体的な形がなんなのか、まだ全体は見えていないんだけど、最低限、これまでやらかしたことを、なかったことにはしないことに決めてる。

そういうこともあるので、加害者である自分に無自覚な他人はあまり好きじゃない。むしろ苦手。……って、そう言ってる自分が攻撃的でもあるよな……うーむ。

私の背中を押した良エントリ

はなしは変わるけど、私は下のリンク先をふと読んで、背中から撃ち抜かれた気持ちになった。もしこれを読んでなかったら、ここでは書いてなかったかもしれない。以下引用。

やられるってことは、やり方を学ぶってことでもあるの。
虐待を受けるということは、虐待の仕方を学習するという側面もある

被害者から加害者になった人は、被虐の体験を整理したら、加虐の整理も突きつけられる。自分の加虐と向き合いたくない人は、いつまでも被虐を語り続け、回復しようとしない。被虐を語るうちは、同情はされても、非難はされない。

被虐と加虐を併せ持つ人は、そもそも回復する気がない

以上すべて、Mariaの戦いと祈り – Aliceさん、人と比較しても回復できないのよから引用。

最後の一文だけ、言い過ぎている感じがする。《被虐と加虐を併せ持つ人》じゃなくて《被虐と加虐を併せ持った上で、被虐の側面しか見ようとしない人》だと思う。そして《回復する気がない》のではなく《まだ回復の段階に入れていない》だけだと思う。この一文以外、理路整然として的確なだけに、どうしてここだけ言い過ぎているのか不思議だったけど。経緯を見て納得した。攻撃してくる他者に対する防衛か……。

ところで、リンク先は「完全児童養護施設育ち」の人が自己の過去を整理するために書いているブログ。同時に児童養護施設における問題点を訴えてもいる。回復の過程にある人で、「自分は自分、他人は他人」であることをしっかりと理解している人。強い人だと思う。

彼女は、「家庭育ちであり、何らかの被害者である他人」が、さも分かったような顔をして彼女らの領域に踏み込むことを好まないし、そういう他人が彼女らに同情を乞うたり、八つ当たりをしたりに心底ウンザリしている。そこで、言及はしたけど、あえてトラックバックは飛ばさないことにしました。

リンク先は特定の人物に向けられた記事だけど、回復を語る上でとても重要な真理が含まれていたので、あえて紹介しました。

Footnotes

行頭の数字は本文中の注釈番号に対応さしてます。

  1. 家庭内虐待、性的虐待、ドメスティックバイオレンス、モラルハラスメントなど Back
  2. というわけで、NC-15さん、正解です Back

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