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げに恐ろしきは4月バカ

この間から、私も「春は魔の季節だ」「春は頭がおかしくなる」ということでああだこうだと書いておりますが、エイプリルフールでもかなりおかしくなる事例が観察されています。なんたって魔の季節ですから。そもそも4月だけ何も起こらず平和だなんてそんなバカなことがあるわけない。3月ウサギと5月病に挟まれたこの時期の恐怖がエイプリルフール、すなわち4月バカなのです。

3月ウサギについては実例を交えて説明しました12 が、5月病についてはまだでしたね。2月末から4月にかけて、陽気に浮かされていた人たちが、5月になって陽気も落ち着いてきた頃に、反動でがっくりくるのが5月病です。反動はなにも陽気に浮かされておかしくなってた人たちに限定されるものではなく、おかしいと呼ぶべきレベルに達しなかった人たちにも訪れます。むしろ後者の方が反動のダメージは大きいと言えましょう。

先ほど2月末から4月にかけて陽気に浮かされると書きましたが、4月における浮かされ方は特殊です。そこでわざわざ4月バカなる呼び名ができたのです。なんでそういう方向に行くのか分かりませんが、4月は嘘をついてしまう人が増殖するらしい。そんな時節を揶揄してできたのが、エイプリルフールなるイベントです。この時期のWebを眺めてたら分かりますよね。

みなさん非常に楽しそうに嘘をついておりますが、このようなムーブメントの煽りを受け、病気と呼んだ方がいい状態になってしまう人々がいたのです。先ほどから説明している、3月ウサギでおかしくなってしまった人たちの一部が該当するのですが、何が問題かというと「4月1日は嘘をついてもいい日」「嘘をネタ化して楽しむ日」というお祭り的認識が、いつの間にか「4月1日は嘘をつかなければならない日」という強迫観念にすり替わってしまうことなのです。

この人たちは嘘をつきます。嘘をつきまくります。楽しそうに嘘をついている人の中にも、実は強迫観念で嘘をついている人が紛れているので探してみましょう。楽しそうに見えるうちはよいのですが、嘘をついちゃならん場面で嘘をつきまくるのは問題です。それは熱病のごとくです。いや熱病じゃなくて嘘つき病なんですが。

  • 業務について質問してきた部下に対し、180°逆のことを言ってしまう上司の例。部下はまさかそんな場面で嘘をつかれるとは思っていないので、素直に言うことを聞いたりするわけです。そして部署内大パニックとか。これは下手をすると取引先を巻き込んだ騒ぎになるので自粛していただきたい。
  • たいした病気でもなく病院にかかった患者に対し、重大な病気の可能性を示唆する医者の例。その時点で検査や入院などが発生することもあるので、病院を巻き込んでしまいます。人手不足のご時世なのにね。検査や入院の費用などで保険の方にも余波が行きます。患者のお財布も寒くなるので自粛して頂きたい。
  • 授業中にまるっと嘘を教えてしまう教師の例。しかし教科書や参考書に書いてある部分については嘘を言えないため、非常に微妙な部分で嘘をつきます。教師が嘘をついているとは思わない生徒は、その嘘を十年後、二十年後まで引っ張ってしまい、ある時大恥をかくことになります。たいへん罪が重いので自粛して頂きたい。
  • 嘘の判決を出す裁判官の例。重大事件の裁判の場合えらいことです。たまたま結審日が4月1日だったために無罪放免になった凶悪犯の例もあるようです。1審や2審の場合、控訴や上告もできるのですが、最高裁の場合取り返しがつきません。社会的に衝撃が大きいので自粛して頂きたい。
  • 重要な国際会議で嘘の報告をする政治家の例。相手国からは非難囂々であり、関係がよろしくない国とは一触即発状態になったこともあったとか。現在までのところ、その後の取りなしや根回しで大事には至っていないが、本気で怖いので自粛して頂きたい。

このように、大真面目にやってしまう人々がいるため、エイプリルフールは罪が重いのです。やられた方は泣くしかありません。彼らには「エイプリルフールはネタ」という認識が通じないのです。

しかも、彼らの一部には、真面目な場面で嘘をつかなければならないストレスを回避するために、嘘を現実だと思いこんでしまう例もかなりの率で見られます。さらに、4月1日だけではなく、その後1年中嘘をつきつづける「慢性嘘つき病」へ進化してしまう例もあります。

先に挙げた例も、4月1日限定であれば「エイプリルフールだしなぁ」と疑うこともできるのですが、年中大真面目に嘘をつかれてしまっては、疑うことすらできず、経済的、社会的影響ばかりがどんどん膨らんでしまうのです。

魔の季節の中で、本当に恐ろしいのは3月ウサギでも5月病でもなく、実は4月バカなのです。多くの人がネタ化しているために、その恐ろしさが隠されてしまっていますが、3月ウサギや5月病の影響が、個人的もしくは小さい範囲に留まるのに対し、4月バカはとんでもなく大きな社会的影響を生じる危険性を含んでいます。

「エイプリルフール国会」のはなし

この社会的影響の大きさを、えろい人たちも重く見ているようで、現在「エイプリルフール禁止法案」が検討されているそうです。法案には、エイプリルフールに乗じて嘘をつく行為や、嘘をつかないまでもエイプリルフールを煽って嘘をつかせる行為に対しての罰則も盛り込まれているようです。この法案が浸透してお祭り騒ぎがなくなるまでの間、社会的影響を低減するための策として、4月1日を国民の祝日とし、一切の経済活動、法律行為を禁止する案も出ているとか。

個人的には、お祭り騒ぎがなくなることは淋しい話なんですが、国民の祝日が増えるのは休めるからそれはそれで嬉しいなぁと思ったり思わなかったりです。

しかしこの国会自体が嘘だったらどうしよう、僕は盛大に釣られているのかもしれないという疑念は払拭できないし、国会の最中に嘘をつきまくる政治家がいたりなんかでわけの分からない様相を呈しており、あらゆる意味で目が離せない今期のエイプリルフール国会なのでした。

Footnotes

  1. http://spherical-moss.net/2008/03/spring-make-mad/ Back
  2. http://spherical-moss.net/2008/03/spring-make-mad-2/ Back

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