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ファッションリスカの再来?

タイトルは元記事からファッションリスカを連想しただけで、再来してるとかそういう話では全然ないのだけど、影響を受けて真似する人が必ず出るだろう、と思っている。

元記事っていうのがこれ↓
「リストカット」に「自傷行為」 なぜ次々芸能人が告白するのか
要約すれば芸能人の中にリストカットの経験をカミングアウトする人がちらほら出てきている、という話。

彼女らが自傷行為を告白すること自体は、前に進むために告白することが必要な場合も想像できるため、まぁ別に否定も肯定もできない感じなのだが、事務所軽すぎやろ《「話題の提供というところですかね」》って何やあああああああああ。正直、変なところで話題を提供して欲しくない。

これは極論かもしれないけど、自傷行為が存在することを知ることによって、その人が自傷行為をしてしまう確率は間違いなく上がる。それを知らなければ、葛藤を他の手段で解消しようとしていた人が、安易に自傷行為で解消するようになる場合だってある。まあ自分のことなんですが。

昔話をしよう。大学に行けなくなるほどの状態に陥ったとき、自分はあるサイトで自傷行為の存在を知った。それからしばらく経ってのことだ、いつの間にか自傷をしていた。その瞬間、そのサイトの存在が頭にあったかどうかは分からないが、意識のどこか深い部分に自傷行為という安易な方法が刷り込まれていなければ、しなかった可能性はある。

元記事には、ブログのコメント欄でファンに暖かく受けいれられたことが書かれており、事務所が軽いノリで《「話題の提供というところですかね」》と言っている。最後に精神科医が自傷行為のカジュアル化についてコメントしている文があるが、そこからはあまりことの重大性が感じられない。

元記事を読んでファッションリスカの再来かと思ったのは、精神科医のコメントを除いては、自傷行為を肯定しているかのような印象を受けたからだ。自傷行為の当事者が、その行為をする己を否定し、卑下し、嫌悪すべき、という意味ではない。過去はともあれ、彼女らは今、前を向いて生きているのだろうし、そういう自分を肯定してやればいいと思っている。問題は周囲の反応を一面しか見せていないことと事務所のノリの軽さ。

「軽いノリでしていいんだ」「みんな励ましてくれるんだ」「あの人と自分も同じになろう」的なとんでもない勘違いを、葛藤の渦中にいる人たちに植えつけ、自傷行為をカジュアル化させ、将来的にエスカレートして止められなくなって精神科にかかる羽目12 になる人間を、潜在的に増やすことはすさまじくまずいことじゃないか?

現実がもっと悲惨だということを知らせるべきだ

告白した彼女は言ってみれば「あこがれの対象」であり、しかも既に乗り越え済みの過去の問題になっている3 から、ファンも肯定的に受け入れるような言葉をかけた人ばかりだった、と考えた方がいいような気がする。現在進行形の自傷行為者の現実はそんなに甘くない。

墓場まで持っていかなくてはいけない秘密がひとつ増える、と考えた方がよいと思う。自分も、実際に社会で接点を持っている人に見られる恐れのほとんどないネットだからこんな脳天気にいろいろ書いていられるが、実社会ではひた隠しにし続けた経験がある。見つかったときに受けいれてもらえたことはほとんどなく、距離を置かれたり面倒がられたり酷い言葉を投げつけられたりするほうが多かった。心配してくれる人間もいたが、泣かれるし相手が消耗するし、罪悪感とわだかまりだけがどんどん膨れあがっていったように思う。人間関係で葛藤を抱えている人はますます孤立して人間不信になれると思うよ。

余談だが、うっかり深くやってしまったとき、血が止まらなくなって病院に連れて行かれたとき、医者に露骨に嫌な顔をされた。ぶっちゃけ医療リソースの無駄遣いだから当然なのだが。それが迷惑なだけの行為だとわかっていても、自業自得だと分かっていても、露骨に嫌な顔をされるのは精神的にくる。

それから、健康上の問題もすごく大きい。恒常的に血を抜くという行為を繰り返し続けて、まともな体調でいられるわけがない。頻繁になれば貧血になったり、酷い例では心臓の弁に穴が空くまでになったとか。4 また、神経や腱を傷つけた場合、手が麻痺したり等の後遺症が残ることもある。自傷行為をやめられたあとにも、一生モノの問題を抱えることになります。

後遺症が残るような場合じゃなくても、一生見栄えを気にし続けなければならなくなる。手首の場合は半袖が着られなくなります。半袖を着て手首はサポーターという手段もあるけどいつもだと明らかにあやしい。長袖を着るにしても一年中長袖というのはこれまた明らかにあやしい。かといって半袖を着てオープンにしてしまうのもこれまたおすすめできない。どこかのバイトさんが半袖で手首から二の腕まで傷だらけだったのを見て僕は同類のくせに正直ドン引きした。人の視線って多分そんなもんです。

一度気にし始めてしまうと、電車の中等、人の手首が嫌でも目に入るような環境にいくたんびに、いちいち自分の手首に目を落とし、へこまなければならなくなるですよ? 電車のつり革を持つときに、傷跡が見えてしまっていないかにも異常に神経を使う。おまえ人の視線を気にしすぎだと言われりゃそうなんだが。

それから結婚式。指輪交換の際に手袋外せますか? フィンガーレスの手袋で、手袋を外さずに乗り切るという手もありますが、珍しいせいか事情を知らない友人に「びっくりしたー」「なんでー?」と聞かれて気まずい空気の中言い訳しなくちゃならなくなりますよ?

こういう気まずさを回避するために、傷跡を消す手術を受けるという手もあるが、健康保険が使えない場合がある。健康保険でできる場合もあるけれど、その場合は診断書がいるとかなんとか。健康保険が使えない場合は、傷跡の程度にもよるが数十万〜の出費は覚悟しましょう。手術しても完全に傷跡が消えるわけではなく、細い線のような跡は残り、それが医療技術の限界。体質的にケロイドになりやすい人だと、手術が元で跡がもっと酷くなる場合も考えられ、これも一種の博打のような気がする。

さらに先の話をするならば、自分に子どもができたとき、子どもにそれをどう説明する? 後で降りかかってくる問題として一番精神的に重いのはこれだと思う。子どもは空気を読まないので変なところで大声で指摘されていろいろ気まずくなるという問題もあるのだが、それはわりと些末なのでおいといて、親として子どもにそれを正しく伝えられるのか、誤魔化してしまうのか、どっちにしろどういう風にフォローしていくのか、自分の子どもも同じように自傷をするようになったときどう話せばいいのか、等々問題は尽きないと思う。少なくとも知識のない他人が見れば、自傷行為は表面上は死にたがっているように見えるものであり、大人面して命の大切さを説くなどということはできんでしょうね。

元記事に脊髄反射してくだを巻いてしまったが、最後の自傷行為から数年くらいだと葛藤は消えないのでしょう。他人様から見れば、後悔と自己嫌悪がいまだに渦巻いており、それらを投影可能な第三者の中に勝手に見てわめくという、非常にガキ臭い行動に映ると思うが。私がこれを書いた動機はさておき、自傷行為なんてカジュアル化させていいもんじゃないんだ、こんな思いをする人間は少ない方がいいんだ、というのが結論。

Footnotes

  1. 羽目、って書いたが精神科について偏見はないです。ただ、病院なんてかからなくていいならその方が幸運だと思ってます。 Back
  2. それから、精神科の通院は生命保険、医療保険共に審査で跳ねられるのが常ですからね。通院終了後数年経てば告知義務なくなるので問題ないですが、通院中は無理ですからね。 Back
  3. ブログの本文からはそう読みとれる Back
  4. 有名な例だが、あくまでも伝聞だしリストカットとの直接の因果関係があるのかどうかも私は知らない。 Back

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Comments:4

#104 08-08-26 (火) 14:10

エントリーと関係ない私信で申し訳ないですが、
Twitterは昨日辞めてまして、
Twitterからのメールも携帯に来るんですが文字化けして読めないので
お手数ですが、メールに方にお願いいたします。

TsumuRi 08-08-28 (木) 23:40

ぎゃーすいません。
退会しているにもかかわらず、なぜかDM送れたので何通か送ってしまいましたです!どういう仕様なんでしょうか……

なつみ 08-08-30 (土) 0:02

ここの会社の人にはえらい迷惑でしょう。
http://www.riska.co.jp/

医者がやってるHPに来た相談でこんなのあります。

http://www.dango.ne.jp/nofuture/judgementheavy39.html

精神的に病んでないといっこも面白くないページですが。

ところで、Footnotesの4の話は確かに有名ですけどその人以外の事例を聞いたことがありません。
心臓の弁うんぬんは「名前3つ使って献血やってた」方が影響してるんじゃないでしょうか。よくそんなこと考えるよなあ・・・。

あ、過去記事の話で申し訳ないのですが、まりも湖の近くに公立のまりも幼稚園があります。
看板を見た時にはびっくりしました。
今でもあるようですが、あそこは釧路市になっていたのですね。

TsumuRi 08-09-17 (水) 23:46

コメントの反映が遅れましてすみません。

やっぱりそこの会社を連想しますよね。私も意味が分かってなかった頃はそこの会社のことかとwww

でででデス見沢先生きたこれ!鬱屈としてた頃読んでましたがこんな体験談があったとはしらなんだです。死に損なった人の例は心臓に異常が出たという例はそれしか聞きませんが、腱や神経をやってしまったという話は他の場所でも目にしました。ネット、書籍、いろいろですが。

まりも幼稚園…あったなら見たかった…… orz

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